介護コラム⑧介護保険できる・できない〜在宅サービスの基本〜

事業者の複数契約や交代、そして「プロの限界」について知っておきたいこと
在宅サービスの「気になる」ポイントを具体解説。事業者は何社と契約できる?合わない時の交代はどうすればいい?そして、災害や緊急時、介護のプロはどこまで守ってくれるのか。香港の火災事故を例に、ケアワーカーの「命の優先権」と事前の備えについて率直にお話しします。
もくじ
介護コラム⑧介護保険できる・できない〜1
前回は虐待をめぐる重たい話題をお話しました。 今回から数回は、在宅サービスの「気になる」ポイントを、具体的に取り上げます。
☆在宅サービスについて
在宅の方のための介護保険サービスには、以下のようなものがあります。
訪問看護 / 訪問介護
デイサービス / ショートステイ
福祉用具(レンタル/購入)
リハビリ(在宅/通所)
☆事業者は何社と契約できるの?
→ 望むだけ可能です。 例えば「毎日、朝夕2回の訪問介護」という計画では、2社以上の事業者と契約することも珍しくありません。 連絡の手間は増えますが、感染症蔓延などで1社に欠員が出た際のリスク分散(アクシデント回避)にもなります。
☆合わない事業者を変更してもらうことはできる?
→ もちろんできます。事業者交代は、ご利用者の権利です。 納得いかないことがあり、相談しても改善されない時はケアマネジャーに相談しましょう。新しい事業者の選定も相談に乗ってくれます。 その際、以下の点を事前に考えておくとスムーズです。
交代のタイミング:すぐ退陣してほしいか、次が決まるまで続けてほしいか
時間の融通:新しい事業者が同じ時間に入れない場合、どの程度時間をずらせるか(午前中ならOK、何時でもOKなど)
☆「介護のプロ」はどこまでやってくれるの?
昨年、海外のマンション火災で「メイドが居住者を助けようとして共に亡くなった」という話が美談として語られました。これを聞いて「私の不在時、ケアワーカーは親に同じようにしてくれるの?」と気になる方もいるでしょう。
結論から申し上げます。 ケアワーカーは事故防止に最善を尽くしますが、「自分の命を最優先にする権利」があります。 レスキュー隊や消防とは違う組織です。台風や大雪、感染症蔓延時にはサービスを休止することもあります。
一人暮らしや外出困難な方は、災害が予想される前にショートステイなどの宿泊型施設へ避難できる体制を、事前に検討しておくことが大切です。
今回は在宅サービス全体の基本についてお話しました。 次回は、私の専門である「訪問介護(ホームヘルパー)」でできること・できないことを詳しくお話しします。
この記事を書いた人
みやちゃん
保有資格:介護福祉士/介護支援専門員/同行援助従業者養成研修(応用過程)
訪問介護管理者(歴10年以上)/ 介護支援専門員・介護福祉士 訪問介護の現場責任者として、10年以上にわたり在宅介護の「はじまり」から「終わり」まで、あらゆる局面を実務として経験。制度の枠組みだけでは解決できない、ゴミ屋敷化、近隣トラブル、家族関係の断絶といった、在宅介護の過酷な現実に数多く立ち会ってきた。 介護福祉士、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格に加え、視覚障がい者の外出を専門的に支える「同行援護従業者(応用課程)」を修了。専門的な知見と、10年の現場実績に裏打ちされた「判断力」が持ち味。 「みやちゃん」の愛称で呼ばれるが、その本質は「どんなに困難な状況でも、決して見捨てずに出口を探し抜く」という、ご利用者様やご家族様への徹底した伴走姿勢にある。 「本人の言葉」と「目の前にある事実」のズレを見逃さず、ご家族様が一人で抱え込む限界を突破するための確かな道筋を提示し続けている。

