事業者との付き合い方〜時には文句だって言いたい〜

「言いづらい」を「より良い介護」への協力に変えるヒント
介護サービスが始まって感じる「これ、言ってもいいのかな?」というモヤモヤ。お世話になっているからこそ遠慮してしまう本音に、現役スタッフのみやちゃんが寄り添います。「事実」と「感情」を分けて伝えるコツなど、良い関係を築くためのヒントをお届けします。
もくじ
事業者との付き合い方〜時には文句だって言いたい〜
あなたの身近な誰かが介護サービスを受けることになりました。 事業者との契約も終わり、いよいよ介護のある日々が始まります。 今回は、サービス事業者との付き合い方について。 少し聞きづらいけれど、多くの方が気になっているであろうテーマ
「クレームがあるとき、どうすればいいのか」
率直にお話しします。
☆苦情があっても言いづらい理由
介護サービスは、他のサービスと比べても「苦情が言いづらい」と感じる方が多いようです。 自分や家族の生活に深く関わり、時には排泄などのケアも担ってくれる相手に対して、きついことは言いづらいものです。
現場でも、こんな言葉をよく耳にします。 「…こんなこと言ったって仕方ないから」 「くだらないこと言わなくてもいいかなと思って…」
遠慮してしまうお気持ち、とてもよく分かります。
☆それでも、伝えたほうがいい
ですが、困りごとはぜひ伝えてください。 なぜなら、「暮らし」とは小さなクセや好みの積み重ねだからです。
一人ひとり違って当然のもの。介護業界ではこれを「個別性」と呼びます。 あなたにとっての「しっくりこないこと」は、他の人にはなかなか分からない大切な情報です。
例えば――
オムツが少しずれている
掃除機が、元に戻してほしい場所に戻っていない
羞恥心への配慮が足りない(声かけやカーテンの開閉など)
子どもに話すような言葉づかいをされる
こうしたことは、決して「くだらないこと」ではありません。 もし、今の事業所とのコミュニケーションがどうしても難しいと感じるなら、一度『えらべる介護』で他の選択肢をのぞいてみるのも一つの手です。納得できる環境を探すことは、決してわがままではありません。
☆伝え方のコツ
困りごとを伝えるときは、少し意識を変えるだけで伝わり方が大きく変わります。 ポイントは「『事実』と『感情』を分けて考えること」です。
困ったこと(事実)
迷惑だったこと(具体的な出来事)
腹立ち(感情)
これらを整理して伝えると、相手も受け取りやすくなります。 また、ケアスタッフへのハラスメントは避けなければなりません。「介護だから多少は強く言っていい」ということはありません。
ただし――嫌な思いや、つらかった気持ちを伝えることは、とても大切です。 「少し恥ずかしい思いをしました」「どうしても納得できず、気持ちが落ち着きませんでした」 このように、自分の気持ちとして伝えることで、誠実な相手にはきちんと届きます。
☆「伝えること」は協力である
困りごとを冷静に伝え、改善を求めること。 それは、事業者を責めることではなく「より良いサービスを一緒につくること」です。 介護は、一人で抱えるものではありません。事業者は、ご利用者の生活を支える「伴走者」です。
少しの工夫で、その関係はぐっと良くなります。 無理に我慢せず、上手に伝えながら、良い関係を築いていきましょう。
この記事を書いた人
みやちゃん
保有資格:介護福祉士/介護支援専門員/同行援助従業者養成研修(応用過程)
訪問介護管理者(歴10年以上)/ 介護支援専門員・介護福祉士 訪問介護の現場責任者として、10年以上にわたり在宅介護の「はじまり」から「終わり」まで、あらゆる局面を実務として経験。制度の枠組みだけでは解決できない、ゴミ屋敷化、近隣トラブル、家族関係の断絶といった、在宅介護の過酷な現実に数多く立ち会ってきた。 介護福祉士、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格に加え、視覚障がい者の外出を専門的に支える「同行援護従業者(応用課程)」を修了。専門的な知見と、10年の現場実績に裏打ちされた「判断力」が持ち味。 「みやちゃん」の愛称で呼ばれるが、その本質は「どんなに困難な状況でも、決して見捨てずに出口を探し抜く」という、ご利用者様やご家族様への徹底した伴走姿勢にある。 「本人の言葉」と「目の前にある事実」のズレを見逃さず、ご家族様が一人で抱え込む限界を突破するための確かな道筋を提示し続けている。

