【こうして進む物忘れ・第4回】診断が出たらどうする?「まずやるべきこと」と、広がる選択肢
「認知症」の診断後、家族がまず動くべきステップとは?
こんにちは。「えらべる介護」の藤本です。 前回は、受診に向けた具体的な窓口(かかりつけ医や地域包括支援センター)と、親の変化を少しずつ受け入れていくという家族の「心の備え」についてお話ししました。 いざ受診を終え、医師から「認知症の疑いがあります」「初期の認知症です」といった診断が出たとき、ホッとする反面、「これからどうなってしまうんだろう」と大きな不安が押し寄せてくるご家族はとても多いです。 しかし、冒頭でもお伝えした通り、診断は終わりではなく「対策を選べるようになるスタート」です。今回は、診断がついた後に「まずどこに連絡し、どんなアクションを起こすべきか」を具体的に解説します。
■ ステップ①:診断書や意見書を持って「地域包括支援センター」へ
病院で診断が出たら、まずは何よりも先に「地域包括支援センター」へ報告を兼ねて相談に行きましょう。すでに受診前に相談していた場合は、「病院でこう言われました」と伝えるだけで、次のステップへスムーズに進むことができます。
ここで最初に行う大きな手続きが、「要介護認定の申請」です。
介護保険サービスを利用するためには、この申請が欠かせません。申請手続き自体は、地域包括支援センターが代わりに無料で代行してくれますので、家族が役所の窓口へ何度も足を運ぶ必要はありません。まずはセンターの職員さんに「介護保険の申請をお願いしたい」と伝えてください。
■ ステップ②:どんなサービスが選べるようになる?
要介護認定の申請をすると、後日、調査員が自宅にやってきて本人の状態を確認する「認定調査」が行われます。その後、介護度が決まると、いよいよ以下のような介護保険サービスが選べるようになります。
ケアマネジャー(介護支援専門員)の決定 これからの介護の計画(ケアプラン)を立ててくれる、家族の頼れる相棒が決まります。
訪問介護(ホームヘルプサービス) ヘルパーさんが自宅を訪問し、買い物や調理、掃除などの生活援助、または入浴や着替えなどの身体介護をサポートしてくれます。
通所介護(デイサービス) 日帰りで施設に通い、食事や入浴、レクリエーションなどを楽しみながら、規則正しい生活リズムを保ち、脳への適度な刺激を与えます。
福祉用具のレンタル 必要に応じて、手すりの設置や歩行器、介護ベッドなどを安価に借りることができます。
「まだそこまで介護は必要ない」と思っていても、早い段階からデイサービスなどで他者と交流することは、物忘れの進行を緩やかにするためにも非常に有効です。
■ 家族が「一人で抱え込まない」ための環境づくり
認知症の診断を機に、「これからは自分がすべて面倒を見なければ」と自らを追い込んでしまう優しいご家族がたくさんいらっしゃいます。
ですが、それは間違いです。介護はマラソンのようなものです。最初から全力疾走をしてしまうと、途中で家族が倒れてしまいます。
介護保険サービスは、本人のためだけにあるのではありません。「家族が自分の人生や仕事をあきらめず、笑顔で介護を続けるため」に存在するものです。プロの手を上手に借りて、家族が「息抜きできる時間」を意図的に作ることが、結果として本人に優しく接し続けられる秘訣になります。
■ 制度の枠を超えたサポートも視野に
介護保険はとても便利な制度ですが、すべてのわがままを聞いてくれるわけではありません。「制度の対象外だけど、どうしてもここを助けてほしい」「認定が出るまでの間、どうしても困る時間がある」ということもあるでしょう。
そんな時のために、私たち「えらべる介護」のような、制度の枠に縛られない自費サービスや独自のサポートを用意している民間企業もあります。
「公的なサービス」と「民間の柔軟なサービス」、この両方をうまく組み合わせることで、ご家庭ごとの状況にぴったり合った「オーダーメイドの安心」を作ることができます。
次回は、新しいテーマとして、実際に介護サービスを選ぶ段階になったとき必要な、ケアマネージャーとの連携について
お話します。
この記事を書いた人
藤本 千鶴子
保有資格:介護福祉士/福祉用具専門相談員/両立支援コーディネーター
藤本 千鶴子 | 『えらべる介護』代表 / 訪問介護現役サービス提供責任者 現役のサービス提供責任者として、日々多くのご家庭を訪ね、介護の最前線で利用者様やご家族に寄り添い続けている。 現場で直面してきたのは、制度の狭間で悩むご家族の姿や、「もっと早く知っていれば」という切実な声。それらを一つでも減らし、誰もが納得して道を選べる社会をつくりたいという想いから、ポータルサイト『えらべる介護』を設立。 「人の手によるぬくもり」と「福祉用具という確かな技術」。その両方を上手に活用することで、利用者様が「その人らしく日常を過ごすこと」を支える介護の重要性を発信している。家族が一人で抱え込まず、プロの力と道具の力を借りながら、誰もが明日へのゆとりを持てる仕組みづくりに奔走中。
