【こうして進む物忘れ・第3回】いざ病院へ!何科に行く?お金や心理的なハードル、そして家族の「心の備え」

いざ病院へ。何科に行く?家族が持っておきたい「心構え」とは
こんにちは。「えらべる介護」の藤本です。 前回は、受診を拒否する親御さんのプライドを傷つけずに医療機関へ誘う「アプローチの工夫」についてお話ししました。 しかし、いざ「健康診断だから行こう」と誘っても、「健康診断なのに、なんでこんなに高いお金(自費の脳ドックなど)がかかるんだ!」と不審がられたり、嫌がられたりして、一筋縄ではいかないケースも多いのが現実です。 今回は、具体的な受診の窓口と、受診の前後に家族が持っておきたい「心構え」についてお話しします。
■ 最初の窓口はどこ?「何科」を受診すべきか
認知症の疑いがある場合、専門 of 診療科としては主に「精神科」「脳神経内科」「もの忘れ外来」などがあります。ただ、いきなり大きな専門病院を予約しようとすると、初診までに数ヶ月待ちというケースも少なくありません。
そこでおすすめしたいのが、まずは「かかりつけ医(普段通っている内科など)」への相談です。
そしてもう一つ、ぜひ知っておいていただきたいのが、「病院に行く前でも、家族だけで地域包括支援センターに相談していい」ということです。
本人が受診を頑なに拒否している段階や、「これって病気なのかな?」と違和感を持った段階でも、地域の窓口である包括支援センターは相談に乗ってくれます。「受診を嫌がる親への声かけ」や「認知症検査ができる地元の病院」など、具体的なアドバイスをくれる心強い味方です。
■ 「自分の前ではいつも通り」という罠
家族が受診をためらう理由の一つに、「私の前では、いつもと変わらずしっかりしているから」というものがあります。
実は、高齢期になっても「子どもには心配をかけたくない」「しっかりした親でありたい」というプライドから、子どもの前や、たまに会うときだけ驚くほどの集中力を発揮して、普段通りに振る舞う親御さんはとても多いのです。
「まだ大丈夫だろう」と思いたいのは、家族の自然な心理です。しかし、あなたが知らない日常のひとコマでは、
もしかしたら少しずつ変化が起きているかもしれません。
■ 家族自身が「受け入れていく」という心の備え
親の物忘れや変化に気づいたとき、私たち家族が必要になるのは、病院探しや制度を調べることだけではありません。
「親も老いていくんだ」という現実を、自分自身が少しずつ受け入れていくこと。 これも、頭の片隅に置いておかなくてはならない大切な「心の備え」です。これまで頼りがいがあった親の小さくなっていく姿や、できなくなっていくことを見るのは、子どもとして辛く、寂しいものです。だからこそ、「年のせいだ」と目をつぶりたくなることもあります。
しかし、変化を否定せず、「これも今の親の姿なんだな」と少しずつ受け入れる準備を始めておくことが、結果としてこの先の介護をスムーズにし、お互いの笑顔を守る第一歩になります。
■ 受診は「ゴール」ではなく「スタート」
受診をしてもし「認知症」という診断が出たとしても、それは終わりではありません。「これからの対策やサポートを選べるようになった」というスタートです。早い段階で専門家に繋がっておくことで、使えるサービスや生活の工夫の選択肢は格段に広がります。
一人で抱え込まず、まずは地域包括支援センターや私たちのような専門家に、今の「違和感」を話すことから始めてみませんか?
次回は、いざ受診した後のステップ。「診断がついたら、まずどこに連絡して、どんなサービスが選べるようになるのか」について具体的に解説します。
この記事を書いた人
藤本 千鶴子
保有資格:介護福祉士/福祉用具専門相談員/両立支援コーディネーター
藤本 千鶴子 | 『えらべる介護』代表 / 訪問介護現役サービス提供責任者 現役のサービス提供責任者として、日々多くのご家庭を訪ね、介護の最前線で利用者様やご家族に寄り添い続けている。 現場で直面してきたのは、制度の狭間で悩むご家族の姿や、「もっと早く知っていれば」という切実な声。それらを一つでも減らし、誰もが納得して道を選べる社会をつくりたいという想いから、ポータルサイト『えらべる介護』を設立。 「人の手によるぬくもり」と「福祉用具という確かな技術」。その両方を上手に活用することで、利用者様が「その人らしく日常を過ごすこと」を支える介護の重要性を発信している。家族が一人で抱え込まず、プロの力と道具の力を借りながら、誰もが明日へのゆとりを持てる仕組みづくりに奔走中。