車いすの選び方ガイド|自走式・介助式の違いと失敗しない機能選び

「どれも同じ」ではない!生活を支える車いす選びの基本
「親の足腰が弱くなってきた」「外出時に車いすが必要かも……」 いざ車いすを準備しようと思っても、種類の多さに驚かれる方は少なくありません。福祉用具の専門家として多くの方をサポートしてきた私も、最初は違いが全く分かりませんでした。 車いす選びの鉄則は、ズバリ「誰が使うか(漕ぐか)」を基準にすることです。この記事では、自走式・介助式といった基本タイプから、快適性を高めるクッション、費用を抑えるレンタル制度まで、初めての方でも迷わない選び方のポイントを解説します。
もくじ
「自走式」や「介助式」など。
車いす選びの基本は“誰が使うか”です。
介護で車いすを利用される方は少なくありません。
今は必要なくても将来的に必要となる可能性のある用品のひとつです。
そこで今回は、車いすのタイプや機能の違いなどについて紹介します。
そういう私(長年介護の業界で働いてきた私)も
福祉用具専門相談員になるまでは
車いすに違いがあることなど全く知りませんでした。
ここでは私が学んだ経験から、車いすについてお伝えしていきます。
まず車いすは大きく「自走式」と「介助式」に分かれます。
自走式?介助式?きっと初めて耳にされる方も多いのではないでしょうか?
車いす選びの基本は、“誰が主に使うか”です。
“ご利用者様自身で漕ぐ”か“介護者が押すか”
車いすは主に使う人に合わせて選ぶ機能や特徴が異なり
各メーカーとも、少しでも操作しやすい、取り扱いがしやすい、
かつ安全、安心に使っていただけるよう様々な工夫をされています。
自走式:ご利用者様本人が漕ぐ・移動するタイプ
介護される方、つまりご利用者様自身が自分の足代わりとして使用されるものを「自走式」と呼びます。
ご利用者様自身が漕いで(操作して)移動するため、後輪タイヤが大きく操作しやすいうえ、
安定性が高い、介助者が押しやすいなどの特徴があります。
他にも、ひじ掛け部分を後ろに跳ね上げられたり、
足を乗せるフットサポートを簡単に取り外せるものも多くあります。
これはご利用者様が自分で車いすからベット、椅子などに移乗する際だけではなく、
介助者の方が移乗をサポートする時にも便利です。
他にもひじ掛けや座高の高さ、背もたれのシートのはり(テンション)を調整できるなど、
その人に、よりフィットするような調整機能があったり、
室内でも使いやすいように小回りが得意なタイプの車いすがあります。
介助式:付き添いの方が押す・持ち運ぶタイプ
「介助式」は、介助者(付き添いの方)と一緒に行動する場面で、
介助者が使いやすいように考えられた車いすです。
軽量で持ち運びやすいうえ、折り畳めて、使わない時はコンパクトにしまえるので
車などにも乗せやすく、目的地に着いてからの移動に便利です。
リクライニング式:姿勢保持が難しい方や長時間の利用に
自走式や介助式には、背もたれの角度を調整できる「リクライニング式」があります。
こちらは、長時間座っていると身体が傾いてしまったりする方(ご利用者様)におすすめの車いすです。
身体が傾いてしまうとどうしても座る姿勢が安定しないため、
ベッド上で過ごす時間が多くなりがちに…。
「リクライニング式」の車いすなら身体が安定するため、
外出も楽しめて、生活にメリハリをつけることができます。
電動式・電動カート:長距離移動や自立した移動をサポート
「電動式」は、自走式や介助式と違い電動(バッテリー)で動く車いすです。
電動車いすは室内外問わずお使いいただけ、介助者の方が電動ボタンで操作できるタイプもあります。
同じく電動式ですが、歩道で見かけたりするバイクに似た形の乗り物は
正式名称を「電動カート」と言います。
室外での長距離移動が得意な物が多く、最近はコンパクトで小回りが得意な物もあります。
快適さと安全性を高める!見落とせないチェックポイント
お尻の痛みや姿勢を支える「専用クッション」の重要性
車いすに長時間座っているとお尻が痛くなってきます。
毎日長時間車いすを使う方や、外出時に長時間車いすを使う方はクッション選びも大切です。
体圧分散ができるものや、座る姿勢の保持をサポートしてくれるもの、
円背の方には姿勢保持をサポートしてくるものなど様々なタイプがあります。
福祉用具専門店ではお試しができることもあります。
さらに、車いすやクッションと一緒に酸素ボンベをおける「ボンベかけ」や「杖いれ」、
車いす用の「テーブル」など、車いすに取り付けて、
使う方の日常生活を快適にサポートする様々なアイテムもあります
転倒を防ぐ「自動ブレーキ」と「パンクレスタイヤ」
ベットや車などへの移乗で車いすから立ち上がる際、
車いすが動いてしまうと転倒の恐れがあるため
多くの車いすにはブレーキ機能が搭載されています。
ブレーキ(ロック)をかけ車いすを固定することで
ご利用者様の安全を確保します。
なかには、立ち上がったときに自動でブレーキがかかるものや、
片側のブレーキをかけるだけで両方のブレーキがかかるものもあります。
他にも、安全・安心の備えとして、
パンクしにくいタイヤを使用した車いすも多くなってきました。
車いすはレンタル?購入?介護保険活用の仕組み
介護保険を利用してレンタルする場合の条件
車いすは介護保険を活用してレンタルすることもできます(自己負担で購入もできます)。
「ご利用者様自身が介護認定を受けている」、あるいは「これから介護認定を申請する予定がある」、
または「当面介護申請など考えてはないが、外出時少し不安なので車いすを準備することを考えている」
などの状況で条件が変わってきます。
全額自己負担で購入・レンタルする場合
介護保険の申請を考えていない場合は自己負担で購入またはレンタルが可能になります。
介護保険を活用したい方は介護保険を活用してレンタルすることができます。
迷ったら地域の包括支援センターや福祉用具専門店へ
介護保険の申請等については、お住いの地区の地域包括センターや
各市町村に介護相談窓口があればそちらに一度ご確認ください。
まとめ:利用シーンに合わせた最適な一台を選ぼう
安全、快適に、長時間過ごすため、外出先で使うためなど、どの場面で使いたいのか?
そのためにはどんな機能がついていると使いやすいか?などを目安に選ばれることをおすすめします。
福祉用具専門店やメーカーによっては相談窓口を設けているので
こちらをご利用いただくこともおすすめします。
今回のコラムが、少しでも参考になればうれしいです。
この記事を書いた人
藤本 千鶴子
保有資格:介護福祉士/福祉用具専門相談員/両立支援コーディネーター
藤本 千鶴子 | 『えらべる介護』代表 / 訪問介護現役サービス提供責任者 現役のサービス提供責任者として、日々多くのご家庭を訪ね、介護の最前線で利用者様やご家族に寄り添い続けている。 現場で直面してきたのは、制度の狭間で悩むご家族の姿や、「もっと早く知っていれば」という切実な声。それらを一つでも減らし、誰もが納得して道を選べる社会をつくりたいという想いから、ポータルサイト『えらべる介護』を設立。 「人の手によるぬくもり」と「福祉用具という確かな技術」。その両方を上手に活用することで、利用者様が「その人らしく日常を過ごすこと」を支える介護の重要性を発信している。家族が一人で抱え込まず、プロの力と道具の力を借りながら、誰もが明日へのゆとりを持てる仕組みづくりに奔走中。

